2008年11月22日(土)「しんぶん赤旗」

新銀行東京

半年で70億円赤字

再建は厳しい状況に


 石原慎太郎知事のトップダウンで東京都が出資し設立した新銀行東京は二十一日、九月中間決算を発表し、半年間で七十億円の赤字を計上しました。金融庁の検査結果を受け、不良債権額は約三百四十九億円で三月末より四十三億円も増えており、再建は厳しい状況です。

 決算資料によると、九月期は貸倒引当金を含め不良債権処理費百三億円を計上したこともあって七十億千八百円の純損失を計上しました。不良債権比率は三月末の12・70%から九月末は17・08%と大幅に増えました。同行は「金融庁の検査での指摘を反映したことと、中小企業の経営環境の悪化を踏まえて、将来的な引当金を計上した」としています。

 九月末の預金残高は三千四百四十四億円で三月末と比べ三百十二億円減少し、貸出金残高は千六百三十二億円で同二百六十一億円減少。上半期の新規融資百億円のうち大半は大企業向けで、中小企業向けは40%にとどまり、石原知事が「中小企業を支援する」としてきた出資の根拠も失っています。

 津島隆一代表執行役(元東京都局長)は同日、日銀で行った記者会見で、元行員が関与した不正融資事件について「多大な迷惑をかけ深くおわびします」と謝罪。来年三月期決算では赤字が百二十六億円になる見通しを明らかにし、「金融情勢が不透明な点はあるが、追加出資した四百億円を棄損することがないように経営していく」と語りました。中小企業向け融資の低迷について、「しっかりした審査体制を築くことが第一。いたずらに中小企業の融資を増やすと、同じような(債務不履行)問題がでてくる」とのべました。


 新銀行東京 石原知事は二〇〇三年の知事選で設立を公約。東京都が一千億円を出資して二〇〇五年四月に開業。今年三月期決算で累積赤字が千十六億円に増え破たんが表面化し、都は四月に四百億円を追加出資したうえ、九月に赤字全額を減資しました。設立時の出資には都議会の自民、民主、公明、追加出資は自民、公明が賛成し、都民の批判があがりました。日本共産党は設立時から一貫して反対しています。


速やかに破たん処理を

吉田都議団幹事長

 日本共産党都議団の吉田信夫幹事長は二十一日、新銀行東京の中間決算について談話を発表しました。不良債権が増加していることを指摘し、「金融情勢が急速に悪化するもとで、新銀行東京をとりまく環境はさらなる厳しさを増しており、再建計画の達成はますます困難」として、速やかに破たん処理を行うよう求めています。

 また、石原都知事と新銀行東京に対し、(1)不良債権の原因となっている不正融資の全容を公表し、対策を講じる(2)国会の参考人招致に応じる(3)問題の先送りをやめ、直ちに金融庁の指導のもと新銀行の処理に踏み出す―よう要求しています。


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